
謎の文明、多面的に迫る──京都文化博物館で「ナスカ展」
【2007年8月25日】
世界遺産の地上絵で知られるペルーのナスカ文明を多面的に紹介する「ナスカ展」が、京都文化博物館(京都市中京区)で9月24日まで開催中だ。ペルー国立考古学人類学歴史学博物館の所蔵品を中心に、土器や織物、ミイラなど約200点を展示している。
ナスカ文明は紀元前1世紀ごろから7世紀にかけて、ペルーの南海岸地方で栄えた。その生活様式を探る手がかりになるのが数々の土器だ。シャチやコンドルなど地上絵にも描かれるモチーフがみられ、霊力を持つ動物としてあがめられていたことを示す。壺(つぼ)の「ピーナツの入った容器を持つサル」など、いずれも素朴な造形で、ユーモラスな味わいがある。
このほか人間の首をかたどった土器が多いのも特徴。同館の南博史主任学芸員は「人間の生命の根源が首にあると考えていたのではないか」と説明する。
幅約10メートルの大型スクリーンで上映するバーチャル映像も話題。約800平方キロメートルの砂漠に点在する地上絵を上空から眺めたもの。地上絵はこれまで「宇宙人説」や「天体の配置を示している」など様々な説が生まれたが、同展では最新の研究成果を基に、祈とうや巡礼に使われたなどの説を示している。謎は未解明であるだけに、現代の私たちの想像をかき立てる。
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